大阪高等裁判所 昭和44年(ネ)305号 判決 1971年4月27日
控訴人 元山清
右訴訟代理人弁護士 西阪幸雄
被控訴人 元山弘
右訴訟代理人弁護士 保津寛
同 露口佳彦
同 佐々木信行
主文
原判決を次の通り変更する。
控訴人は被控訴人に対し、原判決末尾添付目録の「仮換地先」として記載された土地を明渡し、かつ昭和四一年一〇月一日から右明渡済まで、一ヶ月金二万円の割合による金員を支払え。
被控訴人のその余の請求は、これを棄却する。
訴訟費用は、第一、二審とも控訴人の負担とする。
事実
控訴代理人は「原判決を取消す。被控訴人の請求を棄却する。」との判決を求め、被控訴代理人は「本件控訴を棄却する。訴訟費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。
≪以下事実省略≫
理由
被控訴人及びその実兄である控訴人の父元山福松が昭和二二年一二月一七日に死亡し、母元山さく、控訴人、被控訴人、小池絹、川嶋宣子の五名が共同相続をしたこと、右共同相続人五名の間で、昭和四〇年四月六日神戸家庭裁判所において、(1)遺産中、原判決末尾添付目録(一)(二)記載の二筆の土地(神戸市兵庫区湊川町九丁目二三番及び二四番、本件従前土地)は、遺産分割により被控訴人の所有とすること、(2)右土地が換地処分により換地先が控訴人使用中の石置場に該当した場合に、控訴人がその石置場を必要とするときは、時価の範囲内で買受け、必要としないときは、石垣は現状のままとし、地上物件を収去して被控訴人に明渡すこと、等の旨の遺産分割調停が成立したことは当事者間に争いがない。
被控訴人は、右石置場(原判決末尾添付図面記載の位置及び範囲の土地、本件係争土地)は、夢野土地区画整理組合が本件従前土地の仮換地として指定した同組合仮換地湊一〇ブロック九号地に該当すると主張するのに対し、控訴人は、右仮換地の事実を否定して、本件係争土地は控訴人所有の湊川町一〇丁目一番四であると抗争するので、まず、右仮換地指定の事実の存否について判断をすすめる。
≪証拠省略≫によると、夢野土地区画整理組合は、大正一二年六月二〇日兵庫県知事の認可を受けて設立せられた旧都市計画法にもとづく土地区画整理組合であることが認められ(≪証拠省略≫によると、同組合は当初耕地整理組合として発足したことが窺えないでもないが、旧都市計画法にもとづく土地区画整理にも同法第一二条第二項により旧耕地整理法の規定が準用されるから、組合の設立、事実の計画、施行等が旧耕地整理法の規定に準拠して行われることに変りはない)、旧耕地整理法には仮換地に関する規定が設けられていないところ、控訴人は、同組合が仮換地処分をなしうる法律上の根拠自体を争うので、果して同組合の「規約」に被控訴人主張のような仮換地処分に関する規定を設けていたかについて按ずるに、同組合が現在解散して清算状態にあり、事務の管理が杜撰なため、同組合には「規約」の書面も残っていない模様であることは、被控訴人自身の陳述するところであるが、旧耕地整理法第五〇条は、組合を設立するには、設計書及び規約を作り、地方長官の認可を受くべきものとしているから、同組合が右認定のように兵庫県知事の設立認可を受けている以上、同組合にも「規約」が作られていたことは容易に推認せられ、反証がなく、また、同法施行規則第九条第一〇号は、規約には、「耕地整理法第三〇条第四項ノ告示(換地処分の告示)前ニ於ケル土地使用ニ関スル規定」を記載しなければならない旨を定めていたから、反証がない限り、同組合の「規約」にも換地処分の告示前における土地使用に関する規定が定められていたものと推認できるばかりでなく、一般的にいって、従前の土地の権利関係を換地上に移す換地処分は、旧耕地整理法第三一条により整理施行地の全部につき工事が完了したのちでなければできないこと、しかし従前の土地の形質の変更、道路の新設等を行う区画整理工事を施行するためには、従前の土地の現実の使用状態を変更するほかはなく、従前の土地に対する使用収益権をもつ者にとっても、できるだけ早く権利関係を安定させるため、実質上換地処分が完了したのと同一の状態を生ぜしめることが強く要請されることなどから、およそ土地区画整理事業を実施するためには、仮換地(換地予定地ともいわれる)の指定の制度は、不可欠といってよいほどの実際上の必要性が認められるといって差支えなく、さらに本件の場合において夢野土地区画整理組合についても、≪証拠省略≫によると、同組合の地区は、神戸市兵庫区(旧湊区)会下山町、湊川町、菊水町、鴨越町、熊野町等にわたり、総面積約一三八、〇〇〇坪(約四五・六ヘクタール)にも及ぶ広範な区域で、組合は昭和四年から道路の新設を含む区画整理工事に着手し、昭和一五年末頃には計画されていた道路築設の工事を全部完了し、これらの道路は、一部は昭和九年に、残りは昭和一六年一月一三日神戸市に移管され、市道としての路線認定がなされたこと、これらの区画整理工事により地区内の土地の形質にはかなりの変動がみられたが、組合はこれらの工事に併行して、仮換地を指定し、従前の土地に使用収益権を有していた者には仮換地の使用収益をさせてきたことが認められ、これらの事実を総合すると、同組合の「規約」が換地処分前の土地使用に関する規定において、仮換地の指定に関する規定を設けていたものと推認するのが相当であって、以上の推定を覆すに足る反証は何も存在しない。
次に、同組合が本件従前土地について、本件係争土地をその仮換地に指定したかどうかについて按ずるに、≪証拠省略≫を綜合すると、本件従前土地は、同組合の地区内にあり、道路敷地に予定されていて、昭和一二年頃には工事が施行されて、道路が築設され、昭和一六年一月一三日市道認定がなされて、爾来神戸市道として公共の用に供されていること、同組合は、遅くとも右工事に着手する頃には、本件係争土地を本件従前土地の仮換地に指定し、当時の所有者である神戸市湊区夢野村にその旨通知したこと、控訴人及び被控訴人の父亡元山福松は、昭和一四年一〇月一一日、すでに現況が道路となっている本件従前土地を同村から買受け、その仮換地先である本件係争土地の引渡を受けて、これを石置場として使用占有してきたこと、昭和二二年一二月一七日同人が死亡したのちは、控訴人が本件係争土地を引続き石置場として使用していること、控訴人は昭和二九年四月三〇日母元山さくと協議のうえ、さくにおいて、神戸市所定の固定資産税免除軽減申請書用紙に、死亡後もそのまま本件従前土地の所有名義人となっていた亡福松の名義を用いて、本件従前土地の仮換地として本件係争土地に指定され、減歩されたことを理由に、固定資産税を仮換地先の面積によって賦課されたい旨、所要の事項の記載をし、控訴人がその元山福松名下に「元山」と刻した自己の印を押して(この印は右押印後さくに贈与された)固定資産税軽減申請書を作成し、これを神戸市長に提出したところ、同市長は、調査のうえ、その頃右申請を容れて、固定資産税軽減の措置をとったこと、控訴人の主張する湊川一〇丁目一番四の土地は、福松が本件係争土地の使用を始めたときより数年後の昭和二一年二月一五日に、控訴人(実質的には福松)が福田友治より買受け、昭和二三年二月二四日一旦大蔵省に物納したのち、昭和二四年四月二一日売払いにより再び控訴人がその所有権を取得したものであるが、この一番四は、もと大路環所有の同所一番地、宅地、六二五坪の一部で、まず、昭和二年七月二八日うち二九六坪四五が一番二として分筆せられて鉄道用地となり、残地は一番一、三二八坪七一となって、これに対し昭和一二年頃一旦仮換地が指定されたのち、昭和一四年五月一〇日、右一番一がさらに、一番一、二五七坪九六、一番三、三三坪七〇、一番四、三七坪六八に分筆され、一番一及び四は福田友治、一番三は山本国治の所有となったため、その頃改めて一番一及び四に対しては、これを一括して仮換地として合計二六五坪七〇(当時の一〇丁目一号地及び五号地)が定められ、次いで同年八月三日右一番一が、一番一、八〇坪六二、一番五、二八坪九四、一番六、四六坪七九、一番七、三四坪三九、一番八、六七坪二二に分筆せられ、一番四に対しては一番五と一括して、湊ブロック七号地、五九坪五五が仮換地と定められたこと、同所一番地の土地は、一番一、三、四に分筆された当時から、公簿面積に比較して実測面積が少く、一番四の従前の土地(公簿面積三七坪六八)の実測面積は、控訴人主張の五五坪四八ではなく、三五坪六〇にすぎなかったこと、神戸地方法務局備付の「字限図」の写、同「土地台帳別図」の写、神戸市兵庫区役所備付の「神戸市土地評価図」の写、夢野土地区画整理組合作成の「夢野土地区画整理組合地区内及地区外町字名称区域変更並地番更正願添付図」の写(甲第一四号証)に記載されている一番四の土地の形状は、いずれも東南部に矩形の突出部分があり、右のうち甲第一四号証を除くその余の図面では、いずれも北部に鋭角状の著明な欠損部分があるなど本件係争土地とはその形状を異にする部分の存することが明らかで、これらの図面を甲第一二号証中の添付図面、甲第一七号証中山本凱信作成の湊一〇ブロック九号測量図等に照らすと、本件係争土地がその一部において一番四の従前の土地の一部と重なることはあっても一番四の従前の土地が本件係争土地の全域に及ぶものとは到底考えられないこと、以上の事実が認められ、これらの事実によると、本件係争土地は夢野土地区画整理組合によって本件従前土地の仮換地に指定されていること、本件係争土地と一部重り合う湊川一〇丁目一番四の土地に対しては、同所一番五(昭和一四年八月三日の分筆後のもの)と一括して、同組合の湊ブロック七号地が仮換地に指定されていることが認められる。≪証拠判断省略≫
控訴人は、かりに本件係争土地が本件従前土地の仮換地に指定されているとしても、夢野土地区画整理組合は本換地処分をすることなしに解散し、すでに清算を行いうる実体すら失うに至っているから、仮換地指定の効力も失われ、換地先が本件係争土地に指定された場合との条件は成就していないと主張し、同組合が土地区画整理法施行法第三条第二項の規定により昭和三五年三月三一日解散したことは当事者間に争いがない。しかし、前認定のとおり同組合は区画整理工事の施行にともない、地区内の土地の仮換地指定を行い、仮換地を指定した土地については従前の土地にかえて仮換地を使用収益させてきたこと、区画整理工事により地区内の土地の形状には現実にかなりの変動がみられ、本件従前土地も現実には神戸市道として公共の用に供されていたこと、等の事実に、≪証拠省略≫を綜合すると、前記当事者間に争いのない遺産分割調停に「換地処分」といい、「換地先」というのは、「仮換地の指定処分」、「仮換地先」の趣旨であり、右調停において控訴人が被控訴人に対し、換地先(仮換地先)が控訴人使用中の石置場に該当した場合に控訴人がこれを買受けるか、被控訴人に明渡す旨を約したのは、調停の当事者間において、同組合地区内の現実の土地使用状況や、本件従前土地が市道敷となっている事実等をふまえたうえで、そして多分当事者の双方又は少くとも一方において仮換地指定処分の存在をある程度察知した上で、本件従前土地の仮換地として本件係争土地が指定されたという事実が明確になった場合には、その理由だけで、即ち将来本換地処分が行われる可能性の有無や、同組合が法律上なお存在しているかどうか等の点には、当然にはかかわりなく、右の指定地を、すでに市道敷となっている本件従前土地のかわりに使用収益できる土地とみて、控訴人の選択において、本件従前土地を本件係争土地の時価の範囲内で買受けるか、そうでなければ、被控訴人において本件係争土地を使用収益することを控訴人が承認し、これを被控訴人に明渡すことを約する趣旨であったものと認められ(る。)≪証拠判断省略≫しかも、客観的には、当時すでに本件係争土地(石置場)が本件従前土地の仮換地に指定されていたことはさきに認定したとおりであるから、本件遺産分割調停にいう「本件従前土地が換地処分により換地先が控訴人使用中の石置場に該当した場合」との条件は、これによってすでに成就されていたもの(既成条件)というべく、従って、右の条件は民法第一三一条第一項前段により、無条件と同視される結果となる。そして、右の前提における控訴人の選択権を定めたことに関する約定当事者の意思は前認定の通りで、これを左右する事情は何等認められないから、同組合が本換地処分することなしに解散したこと、あるいはすでに清算のための実体すら失っているというようなことが、同組合のした仮換地指定の効力にどのような影響を与えるかというような点は、確実となった前提事情の効果が後に問題化した場合と同じく、それが錯誤その他、別に意思表示に一般の失効等の原因として考えられる点は別論として、それ自体で当然に前記選択権の設定と、これに伴う約定を定めた本件調停条項の効力には、なんら消長をきたすものではない。何となれば、本件で形式上存在した条件は、それが予定された法効果を生ずる方向にのみ働くものであって、その条件が存在した上で、さらにその効果が覆滅されるような別の事由の存否にまで、当然に作用する効果を期待できるものではないからである。従って、控訴人の右仮換地指定処分の失効を理由とする条件不成就の主張は、仮換地指定処分の効力が同組合の解散により消滅したかどうかについて判断するまでもなく、理由がない。
なお、右控訴人の主張を、一旦生じた仮換地指定の効力を消滅させる別の事由までを含んで、即ち前記組合の解散ないし実体喪失によって、結局、条件として掲げられた事由である仮換地指定の効力が現在存在しないことを理由として本件調停条項の効力を否定する趣旨の抗弁を解するとしても、夢野土地区画整理組合が土地区画整理法施行法第三条第二項の規定により昭和三五年三月三一日に解散したことは、前示のとおり当事者間に争いがないが、同組合が清算を結了したことについては主張も立証もないから、なお清算中と解するほかはない。そして、仮換地指定処分は、換地処分が行われるまでの暫定的な処分であるとはいえ、将来換地処分が行われることを前提として、土地区画整理工事の施行を円滑ならしめ、かつ施行地区内の土地につき所有権その他の使用収益権を有する者をして、できるだけ早く権利関係を安定させるために、実質上換地処分が行われたのと同一の状態を生ぜしめる目的で行われるものであって、仮換地指定処分がなされ、土地区画整理工事が施工されると、施行地区内の土地の形状も一変し、所有権その他の使用収益権を有する者も従前の土地を離れ、仮換地を使用収益の対象とすることとなり、そこには換地処分が行われたのと同じような状態が実現され、一つの法的安定状態が形成されることとなるのであって、仮換地指定処分がこのような効果をともなう行政処分であることを考慮するならば、たとえ土地区画整理組合が土地区画整理法施行法第三条第二項の規定により解散したものとみなされたとしても、仮換地指定処分の暫定性の故に、直ちに仮換地指定処分がその効力を失うと解するのは相当でなく、例えばその事業を引継ぐ新たな施行者(土地区画整理法第一二八条参照)の手によって、当初の目的どおり換地処分が行われるとか、逆に、仮換地指定の効果を覆滅するなんらかの行政上の措置がとられるまでは、仮換地指定の効力は当然には失われないものと解すべきで、このことは、解散した組合が事実上代表者や事務担当者を欠くに至っている場合でも別異に考えるべきではない。従って、控訴人の右仮換地指定の効力不存在に関する主張は理由がない。
なお控訴人は、同組合が、本件係争地を本件従前土地の仮換地に指定しながら、控訴人所有の湊川町一〇丁目一番四の土地(本件係争土地)の仮換地を他に指定しなかったのは、個人の財産権を不当に侵害する点で、憲法に違反する無効の処分であると主張するけれども、同組合が一番四の土地についても、同所一番五の土地と一括して湊一〇ブロック七号地をその仮換地に指定したことは前認定のとおりであるから、控訴人の右憲法違反の主張は、その前提となる事実関係を欠き、採用できない。
控訴人はさらに、控訴人は本件係争土地が本件従前土地の仮換地に指定されていることを全く知らなかったから、本件遺産分割調停は要素の錯誤による無効のものであると主張し、≪証拠省略≫には、これに副う部分もあるけれども、控訴人自身が昭和二九年四月三〇日母さくとともに、本件従前土地につき、本件係争土地が仮換地に指定され、減歩されたことを理由とする固定資産税軽減申請書を亡元山福松名義で作成したことは前認定のとおりであり、この一事からみても、控訴人が右仮換地指定の事実を知っていたことは明白で、これに反する≪証拠省略≫は措信できず、他に控訴人の錯誤の事実を肯認するに足りる証拠はない。よって右抗弁も理由がない。
すると、控訴人は本件遺産分割調停の調停条項にもとづき、その選択により、被控訴人から本件従前土地を本件係争土地の時価の範囲内で買受けるか、又は被控訴人に対して本件係争土地を明渡すべき義務があるものというべきである。
ところで、控訴人は、前記湊川町一〇丁目一番四の土地を昭和三四年四月二〇日時効により取得したと抗弁し、その趣旨とするところが、本件係争土地の占有により本件従前土地を時効取得したと主張するのか、右一番四の土地の所有権を時効取得したと主張するのか、そのいずれであるかが必ずしも明確ではないが、いずれにせよ、右主張は、それだけでは、その後の昭和四〇年四月六日に成立した右調停により定められた控訴人と被控訴人間の権利義務関係に影響を及ぼすものとは考えられないから、控訴人の右時効取得の抗弁は失当である。
そして、被控訴人が昭和四一年六月三〇日控訴人に到達した書面で、控訴人に対し五日の期間を定めて選択権の行使を催告したが、控訴人がこれに応じなかったことは当事者間に争いがないから、これによって右選択権は被控訴人に移転したものというべく、従って、被控訴人の選択により、控訴人に対し本件係争土地の明渡を求める被控訴人の請求は正当であり、訴状送達の翌日たること記録上明白な昭和四一年一〇月一日から明渡ずみまで月二万円の割合による損害金(本件係争土地の当時の適正賃料が月二万円を超えることは≪証拠省略≫により認めることができる)の支払を求める請求も正当である。しかし、被控訴人の請求のうち、本件明渡の給付判決の請求と同時になされた使用収益権の確認を求める部分は、前記明渡請求が認容されることにより、明渡の債務名義をうるとともに被控訴人の控訴人に対する本件係争土地の前記調停にもとづく明渡請求権自体も確定されることになり、これによって被控訴人の権利又は法律的地位に現存する不安危険は充分除去されるものと考えられ、このほかに使用収益権の確認を求めなければ除去できないような不安危険があると認むべき特段の事情の存在をうかがいうる資料も存しないから、右使用収益権の確認を求める部分は保護の利益を欠き、理由がないものといわねばならない。
よって、原判決中、使用収益権の確認請求を認容した部分は失当たるを免れないから、原判決を変更し、右確認請求については被控訴人の請求を棄却し、明渡請求と損害金請求はこれを認容すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九六条、第九二条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 宮川種一郎 裁判官 滝川春雄 平田浩)